平成29年3月25日(土)に第2回論文精読セミナーをおこないました。
今回取り上げた論文は下記の2つである。
①Biological and therapeutic effects of ortho-silicic acid and some ortho-silicic acid-releasing
compounds: New perspectives for therapy (2013)
②Association of Dietary Nitrate Intake With Primary Open-Angle Glaucoma A Prospective
Analysis From the Nurses’Health Study and Health Professionals Follow-up Study (2016)
外部からの参加者はシリカ飲料を販売されている会社の方が1名、参加された。種々、翻訳者や私に質問をして下さり、楽しい有意義な勉強会になった。ご質問は基礎的な部分も多かったが、私には素人の方の疑問点がどの部分にあるかがわかり、非常に参考になった。一つ例を挙げると、飲料水分野ではシリカ(SiO2)と良く言うが、実際に水に溶けての形態はオルトケイ酸(H4SiO4)であることなどである。肥料分野で加里(K2O) といってもなにもK2Oとして肥料の中でも存在しているわけではないのと同じである。
緑内障の本論文は当初原本コピーも入手が難しかった。そこで私はハーバード大学が別途広報していた要約や代表的データが載っている公報用のパワーポイントがネット上に出ていたので当初はそれらを興味深く読んででいた。眼科医である私の家内が、それを見て、「緑内障とわかっていて、治療しないのはおかしい、薬や手術も必要で、進行を抑える効果のある薬もある。そうした罹病患者さんのデータ上の取り扱いも書いていない論文を他者に紹介する価値がない」 「目の仕組みは人種の違いも大きいのにその取り扱いも説明がないのはダメだ、読むに値しない」とまで言う。そして、「どれだけ毎日、多くの緑内障の患者さんが来院していて、それも緑内障症状の複雑さも知らないくせに、立ち入ってはいけない」と私を非難する。
そうした疑問がやはり原本には記載があった。眼科医院で治療を受けている人は最終データからは除外されていた。またアフリカ系の方は緑内障になりやすいのだが、それらも別途データ処理されていた。やはり、原著は超一流の学術雑誌であり、ハーバード大学はやはり、価値あるデータを示してくれていた。また、緑内障と一酸化窒素に関する関連研究も本論文以前に数点はあって、全てがこの論文の初めての発見ではないことも論文を精読するとよく理解できた。
ただ、家内の言うことももっともで、『日本人対象のデータが、日本の眼科専門医の調べられた結果から発表されないと、一般眼科医が飛びつくことはまずない』私はこうしたデータが海外で出ていることを、日本の多くの専門医の皆さんにも知っていただき、日本でもこうした研究が日本人対象に実施されることを願っているのである。