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第3回論文精読セミナーを行いました


平成29年5月6日(土)に第3回論文精読セミナーをおこないました。

 

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今回取り上げた論文は下記の2つである。

①Nitrite activates AMPkinase to stimulate mitochondrial biogenesis independent of soluble

guanylate cyclase (2012)担当:Y.Sさん

②Novel Aspects of Dietary Nitrate and Human Health (2013) 担当:S.M.さん

外部からの参加者は素人の人、3名参加下さった。英文論文原本とボリュウムのある全訳和文を観て、資料の多さと、内容の難しさに驚かれたと思う。「いったいどなたのための勉強会ですか」「私、渡辺和彦のための勉強会です」と私はいつも答えている。私も英語論文の走り読みや、良いデータの抜粋は出来るが、論文の隅々までの精読をする場合は少ない。翻訳していただいた方に、その人の目で見た客観的な内容紹介もありがたい。私は、自分の目的部分を重点に読むので、素人の方の論文全体を精読しての素直なとりまとめ、読後の感想も非常に参考になる。

①の論文は亜硝酸が低酸素下でAMPキナーゼを活性化したり、亜硝酸のS-ニトロシル化作用で臓器保護作用を観察した最新研究の論文である。②はこの分野では大きな功績のあるWeitzbergとLundbergの総説で、客観的に自分たちの過去の研究だけでなく、関連研究、今後するべき研究をとりまとめている。この論文から、がんの危険性についての他者の研究説明が多く、参考になった。ただ、残念なのは、①の論文研究については,まだ、触れられておらず、内容が少し古いと私は感じた。逆に言えば、①の研究で亜硝酸イオンに関する考えが、世界的に大きく飛躍したと思う。

外部参加者からは「ミトコンドリアを活性化するなどと言っても誰も何のことかわかりませんよ」と言われる。一般の方にはATPからの説明が必要である。「亜硝酸が体に良いことはわかったとして、いったい何を食べたら良いのですか」私は、「ダイコンのお漬け物、ハクサイの淺漬けなどが良いのですよ。漬け物にすると硝酸イオンの多くが亜硝酸イオンになっているのですよ」と、説明させていただいた。また、「ある先生から教えられたことですが、よく租借して食べなさいと古くから良く言われているが、租借も硝酸イオンを亜硝酸イオンにする効果が大きいのですよ」と付け加えさせていただいた。